301A型無線機放射線試験の解析
2009年1月10日
衛星用無線機301A型の放射線試験を2008年12月東大・中須賀研で実施された。
結果は4kradの放射線量でダウンロード異常、16kradまでアップロードとCW送信機は動作した。
供試無線機の調査・解析結果から301A型は旧機種の101A型と同程度の放射線耐量と推定される。
以下は、この放射線を照射された無線機について調査・解析した内容である。
(マイコンボードと同時に照射試験が行われて、無線機だけ戻りそれを調査した)
1.放射線試験後の状態(合計16krad照射後)
(1)430MHz
FM受信機
受信周波数が-8kHzずれている。
受信復調出力が25dB低く波形が歪んでいる。
弱い信号は受信できず、強い信号で受信。
(2)430MHz
FM送信機
FM変調がかからない。
送信周波数と送信出力およびスプリアスは正常。
(3)430MHz CW送信機
送信周波数と送信出力およびスプリアス共に異常なし。
2.放射線により異常になった部品解析
(1)430MHz
FM受信機
電源の3V定電圧IC(S-812C30AMC)が異常で2.3Vに低下し、TCXOの周波数が-8kHz変動。
受信復調出力の増幅オペアンプIC(NJM2100M)が動作異常。
(2)430MHz
FM送信機
FM変調増幅用のオペアンプIC1とIC2(NJM2100M)が異常。
(3)430MHz CW送信機
異常箇所は見当たらない。
3.所見
旧機種(101A型無線機)の放射線試験時もオペアンプIC(NJM2100M)と定電圧ICが放射線の
影響を受けたが、今回も同様の結果になった。
無線機内部に使用しているオペアンプIC(NJM2100M)は3個あり、その全部が異常になって
いるから、この素子が最も弱い。
電源の3V定電圧IC(S-812C30AMC)も合計3個使用していて、その内1個だけが異常で他の2個
は正常に動作していた・・・オペアンプの次に弱い。
高周波回路(PLLと高周波増幅等)の素子は放射線の影響を受けにくく安定なようだ。
旧機種(101A型無線機)は2003年6月に打ち上げられてから2014年12月現在11年間正常に動作している。
301A型も同程度の耐放射線能力があると推測される。
無線機本体(301A型)はここをクリック
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-----編集責任者:西 裕治 (Ji3CKA)-----