---(前回のNTS210,NTS710製品開発経過はここをクリック 1999年6月〜2000年1月)---
 
★★★新製品開発状況公開 (2000年2月1日〜 )★★★
 
 
小型ゼネカバHFコンバータ(オールモード対応ポータブルタイプ)2m用&6m用2機種開発中
NTS-C02A---144MHz機(NTS210等)に接続して、0.1〜54MHzに変換するキットまたは完成品
NTS-C06A---50MHz機に接続して、0.1〜30MHzに変換するキットまたは完成品
 
1.開発の概要 (開発の進行状況と皆様からのアイデアにより内容が変更される場合があります)
 
  電池(9V)または外部電源(9〜12V)で動作するポータブルタイプ、受信は100KHz〜54MHzをフルカバー実装
  50MHz機用のカバー範囲は0.1〜30MHz迄
  親機の可変範囲が100KHzの場合もゼネカバ対応、サムホイール・スイッチで100KHzステップ設定の内蔵局発と外部局発入力切替
  USB/LSB切替は音声周波数反転ICによる切替回路をHFコンバータに内蔵する。(親機がUSB専用でもLSB切替OK)
  (外部Lo入力により、その他の親機周波数の組み合わせも応用可能---フィルタは別途必要な場合あり)
  送信出力:0.5〜1W
  大きさの目標:NTS210程度の大きさ
 
  小型HFコンバータ開発の主な課題
    (1)144MHz用は90〜144MHzの広い範囲を可変出来るS/Nが良い局発内蔵用小型PLL回路設計
       50MHz用は50〜80MHzの局発内蔵用小型PLL回路設計
    (2)バンド別送信フィルターの小型化設計とスプリアスの少ない送信ミクサ回路
    (3)小型・広帯域・高能率送信アンプ(1.8〜54MHz、出力1W程度)
 
2.開発時期
  開発スタートしましたが、今回の企画は小型化をどれだけ出来るかが最大の課題。
 基本的な仕様を決めながら、なるべく早く開発を進めていく予定です。
 
3.開発状況
 部分的な回路実験を行い、基本仕様・回路構成を検討中です。
 
NTS-C02A 系統図(案)-----(n3-c02a-blk.PDF 8KB)
 
3.1 送信ミクサ特性
  144MHz用は局発を下側にしても帯域外周波数ですから周波数関係は逆転しない方法でOK。
 DBMによる送信ミクサの実験をしてスペクトル特性を確認した。(フィルタ無し、SGを2台使用)
 出力として取り出すレベルを約-10dBm程度に押さえると近傍スプリアスは-40dB以下。
 1W用としては、シンプルな送信フィルターで構成できそうである。
 (DBMの出力側に18PFのコンデンサを並列に入れると2dB程スプリアスが少なくなった)
 DBMは、MINI CIRCUITS社のSBLー1を実験に使用。
---DBM出力スペクトル---
 
 50MHz用の周波数組み合わせでは局発が上側の場合144MHzの時と同様に-40dBm以下になるが、
 局発を下側にすると25MHz付近で近傍に-35dB程度のスプリアスが近づきゼネカバ仕様でフィルタ
 を小型に出来ない。ミクサ特性が改善出来なければ50MHz用の局発は上側にする方向で進める。
 従って50MHz用は親機の周波数関係が逆転するが、内蔵局発を100KHzステップにして対応を考える。
 
 送信回路は、このミクサ出力を簡単なフィルタを通して40dB増幅で1W出力にします。
 (出力を1W以上にする場合は、さらに10〜20dBスプリアスを低減するバンド別フィルターが必要)
 1.8〜54MHzのバンド別高調波フィルターは、どこまで内蔵出来るかにより、アンテナとの間に別途
 外部フィルタが必要になるか決まります。(1.8MHz,1.9MHz用フィルタは内蔵無理か?)
 
 DBMのTUF-1を入手しました。QRP-PLAZAで情報をいただいたリード線形としては比較的小型で割合安価な素子です。
 上記のSBL-1と比較したところ、よく似た良好な特性でしたので、これで検討を進めます。(2000.2.18)
 
 
3.2 受信ミクサ特性
  NTS210と144MHzの5/8λホイップの間にDBM(SBL-1)とSGを組み合わせただけの単純な周波数変換回路を
 入れて受信してみました。
 1m余りの短いアンテナエレメントですが、7MHzと中波のラジオが割合良好に受信出来ました。
 低い周波数の信号を144MHzに変換して受信するわけで、実用性は充分という感じです。
 製品では、144MHzが直接飛び込んでこないようにフィルターを付けること、及びもう少し感度アップと局発が、
 アンテナに漏れていかないように高周波アンプを追加することになります。
<受信ミクサ回路実験中の写真>
 
 受信側も、DBMをTUF-1に変えて良好に動作しています。(2000.2.18)
 
 
3.3 送信アンプ
  2SC3101を終段にする場合の実験を行いました。
 入力出力共に単純な10μHのチョークコイルと、0.1μFのコンデンサ結合回路の場合、1.8〜14MHzの範囲では
 最大飽和出力は約2Wが得られ、0.3W出力時の利得は20〜25dB、1.8MHzより14MHzでは約5dB利得低下する。
 54MHzでは、大幅に利得が低下するので、コイルと100PFのコンデンサで簡単なマッチングを取ったが、利得は約15dB。
 そのままでは、1.8〜54MHzの範囲で利得が、25〜15dB。最大飽和出力は、2.2〜1.3Wで利得変動が大きい。
 AB級シングルアンプで、高調波スプリアスは大きい。バンド別LPFは必要。
 コレクタ負荷チョークコイルに並列に、220Ωを追加しないと発振する。
 利得の平坦化と54MHzでの最大出力に余裕が必要で継続検討。
 (別件で20MHz0.5Wの信号源が要ることになったのでパワーSGとして丁度良い具合です)
  利得と最大出力の周波数特性を平坦化した結果1W出力時の利得=18dB±2dB以内(1.8〜54MHz)が得られた。
 15mWドライブで約1W出力(入力側のインピーダンスはSGの50Ωよりかなり小さくミスマッチの状態---ドライブ回路要注意)
 R1とL1で、低域の高い利得を中域のレベルにあわせ、L6とC15で高域(50MHz)のミスマッチングを補償しています。
 この回路で、問題なければ狭いスペースで作れそうです。
 DBMの送信ミクサ出力を1Wに増幅するには段間結合ロス等も考慮して、50mW,25dB位の広帯域アンプが前に必要。
送信終段アンプ拡大写真
 
 続いてSG2台(144MHz,90〜142.2MHz)→TUF-1→2SC3356→2SC3356→2SC3101の送信アンプ構成で実験。
 1.8MHzから54MHzまで1W出力が確認できた。(飽和最大出力は約2W)
 今の実験回路の場合、送信定格出力は、9V時0.5W、12V時1Wになりそうである。(2000.2.24)
 
3.4 LPF
 送信部バンド別フィルタの検討で、まず1.9MHzのLPFを組んでみました。
 低い周波数で、コイルが小さいため2dBのロスがあるが、送信定格出力は、9V時0.5W、12V時1W確保可能。
 LPF部の所要スペースは、12.5×15mm、6個で済めば25×45mmで、全部内蔵できるか検討継続。
 バンド分割案---(1)1.9MHz,(2)3.5MHz,(3)7MHz〜10MHz,(4)14〜18MHz,(5)21〜28MHz,(6)50MHz

送信部実験回路(1.8〜54MHz,40dB,1W出力)

 
 この1ヶ月程は別件の仕事の割り込みであまり進められませんでした。(2000.3.23)
 各バンド別のLPF回路をシミュレータで検討した図です。これを元に実験で回路定数を決めていきます。
 
バンド別シミュレーションデータ(179KB)
 
 バンド別のフィルタの実験を進めています。1.9,3.5,10MHz用ではシミュレーションデータに近い特性が得られました。
 少しロスが多目のようなので、R12を4.7Ωにしてドライバの電流を増やしました。
 14〜50MHzはシミュレータの回路定数からだいぶ変更しましたが一通り出来ました。
 これで小型化の見通しが明るくなってきました。

 
3.5 バンドと送受切替回路
 回路図が半分くらい書けてきました。
NTS-C02A回路図(案)---作図中(PLL部,低周波部は未記入)
 バンド切替スイッチをどうするか、まだ迷っています。
 実験中の2回路6接点ロータリースイッチ(MR-K206 日開)は、小さくてロスも割合少ないが、価格が高めである。
 他に手頃なスイッチが無いか調査中 ★★★<求む---スイッチ情報>★★★

ロータリースイッチ MR-K206

 
 別件の仕事が猛烈に忙しくなって長いブランクになっちゃいました、お待ちの方には申し訳ないです。
 ピックマイコンを使う仕事もあって、結局簡単なプログラムは自分で組めるようになって来ました。
 そこで、もう一つの悩みのタネであったチャンネル設定方法を考えていたら良い方法が思い浮かびました。
 サムホイールSWは3桁必要ですが、2桁のサムホイールSWで4桁分(10KHz〜10MHz)を設定する方法です。
 A案:電源ON前に10Mzと1MHzの桁を設定しておく。電源ON後は100KHzと10KHzの設定に変わる。
 B案:MHz桁とKHz桁の切替SWを設ける。
 どちらかの方法を使えば、10KHzまで細かく設定出来るし、マイコン端子不足が解消してケースも大きくならずに済む。
 「なあんだ、そんなことか」と言わないで下さい。本人は真剣に考えた結果の名案だと思ってますので---
 ローコストで小型に設計するのは難しいですね。
 開発速度がペースダウンしていますが、もうしばらくお待ち下さい ----- 2000.8.15

 開発をあきらめた訳ではないのですが、随分間が空いてしまいました。---2001.1.31
 他の仕事が猛烈に忙しくなって、と言い訳をしております。  別のページでPLLユニットを出してありますが、これをHFコンバータの局発用に応用する予定です。
  PLLユニットのページ
 バンド切替に連動して広範囲に周波数をコントロール出来るC/Nの良いVCOと組み合わせます。